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包装紙を再生するエコレシピ

紙袋

もったいなくて、捨てられなかった紙の話

贈り物をもらったとき、包装紙のデザインが美しいと、それだけで気持ちが少し高揚します。けれど、開けたあとにその紙をどうするか。それはいつも私の中で小さな迷いを生みます。紙としてはすでに役目を終えているのかもしれない。でも、その色や質感、手ざわりに心を動かされた以上、ただ捨てるのはどこかもったいない。そうして私は、引き出しの中にもったいなくて捨てられない包装紙をため込むようになっていきました。

あるとき、それらを見返していたら、小さな模様の連なりや、柔らかい手ざわりに改めて心を奪われました。「これは、何かにできるのではないか」。そう思った瞬間から、包装紙は余りものではなく、素材として私の中で生き直したのです。

紙を道具にするための、やさしい工程

包装紙を再利用するうえで、最初に大切にしたのは残された状態を丁寧に観察することでした。シワがあるのか、折れ目はどこか、裏面にテープの跡が残っていないか。どんな小さな欠点も、その紙の個性のひとつだと思えば、自然と扱い方も変わってきます。

私はまず、やわらかい柄の紙を選んで、小さな封筒を作ることにしました。角を丸く切り、折り線を軽く押さえ、のりづけするだけ。簡単な工程ですが、折っていると自然と集中していき、どこに模様を活かすか、どうバランスを取るかに意識が向いていきます。まるで一枚の絵を構成しているような感覚がありました。

その封筒に、手書きのメッセージを入れて知人に渡したとき、「この紙、どこで買ったの?」と聞かれました。「もともとは包装紙だったんです」と答えると、驚きとともに、「丁寧な気持ちが伝わってきた」と言ってもらえたのが、何より嬉しかった出来事です。

再生は、創造に近い

包装紙の再利用は、単なるエコやリサイクルという枠を越えて、自分自身の目の使い方を変えてくれる行為だと感じています。用途を終えたと見なされていたものに、もう一度視線を向けて、そこに新しい価値を見つける。そのプロセスこそが、手仕事の原点のような気がしてならないのです。

今では、包装紙から栞を作ったり、小さな紙箱を組み立てたり、コラージュの素材として貼り合わせたりと、用途はどんどん広がっていきました。アイデアは尽きません。破れている部分は切り落とし、余白に新しい紙を重ねて強度を持たせる。そうやって工夫していくうちに、ひとつとして同じものがない、まさに一点物のクラフトが生まれていくのです。

そして何より、再生された紙のひとつひとつに「前の時間」が刻まれていることが、作品に深みを与えてくれるように思います。誰かの手を通り、想いを包み、また別の形に姿を変えて日常に戻ってくる。その循環に触れるたび、私は「ものを大切にする」とは何かを、改めて教えられているような気がします。

日々の暮らしのなかで出会う包装紙。ほんの少しの視点の転換と、丁寧に向き合う手の動きによって、それはただの紙ではなく、記憶のかけらとして生き直していきます。再生とは、削って戻すことではなく、重ねて育てること。そう思えるようになった今、私は、何気ない素材の中にも静かな美しさを見つけられるようになりました。